今回は《刻み食》についてお話ししたいと思います。 高齢になったり、不慮の事故で嚙む力が弱くなり、以前は苦労なく普通に食べられていた大きさの食事が咀嚼・嚥下障害(そしゃく・えんげしょうがい)
咀嚼・嚥下障害(えんげしょうがい)については下記を参照してください。https://meeberblog.com/2022/01/28/syokujikaijyogahituyouninarugenninn/
そのような方に施設では刻み食を提供します。
《刻み食》は小さく刻めば食べやすくなるという利点はありますが、飲み込みに問題がある場合は逆に危険を伴うこともあります。
《刻み食》のメリットとデメリットを知って、刻み食の準備や、安全に食事を楽しんでもらう時に気を付けたいポイントをお話ししたいと思います。
ご自宅での介護にお役に立てれば嬉しく思います。お気軽に覗いてくださいませ。
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刻み食を安全に美味しく
高齢の方が咀嚼・嚥下しにくい食品
☆高齢の方が特に噛みずらく飲み込みにくい食品を、まとめてみました。
高齢の方の食事には以下の食品を避けるか、嚙みやすく飲み込みやすい工夫をするといいでしょう。
- 口の中にくっつきやすいもの
焼きのり、わかめ、餅、団子など、
- パサパサしているもの
パン、クッキー、カステラ 、高野豆腐、ゆで卵など
- 噛み切りにくいもの
タコ、イカ、こんにゃく、ごぼう、 筍など
- さらさらした液体など喉を速く通過するもの
寒天ゼリー、お茶、みそ汁 など
- 口の中でバラバラになりまとまりにくいもの
ひじき、かまぼこ、ナッツ など
- 酸味が強いもの
酢の物、かんきつ系など
刻み食とは?
《刻み食》とは名前の通り、食べ物を小さく刻んで食べやすくした食事のことを言います。人によってその程度は異なりますが 高齢になり、筋力が低下し、咀嚼力(噛む力)が弱くなった方むけの食事形体の一つです。
《刻み食》は4種類には分けられ、刻む大きさは食べる方の状況により様々です。一口大の2~3㎝角や粗刻みの1~2cm角、刻みの5mm~1cm、超刻みの5mm以下のより細かく刻んであるものもあります。
刻み食に向いている人は?
刻み食が向いている人は、飲み込む力はあるものの、噛むのが難しい人です。入れ歯ができない人や、歯に問題がある人、口が開けづらい人は刻み食を試してみると良いでしょう。
ただし、唾液が少ない人や飲み込む力が弱く嚥下障害(えんげしょうがい)がある方は、刻まれた食べ物をまとめて飲み込むことが難しいのでトロミ剤を使用するなど工夫が必要です。
その刻み大丈夫?刻み食で気をつけるポイント
「そうか!噛む力が弱いなら食べ物を小さくすればいいんだ。!最初から最初かかみ砕いた状態だから後は飲み込むだけよね。!」と思う人もいるかもしれませが、実は刻み食には注意しなければいけないポイントがあります。
普段あまり意識をすることはありませんが、食べ物を食べるとき、口の中では、
1.食べ物を砕き、磨り潰す(咀嚼)
2.食べ物をまとめる(食塊をつくる)
3.のどの奥に送り込む
という動作が自然に行われています。
ただ刻んでいるだけだと、食べ物の細かい粒が口全体に広がってしまい、2の「食べ物をまとめる」という動作が難しくなってしまいます。
その結果、口の中の食べ物を飲み込みづらくなってしまったり、誤嚥(ごえん:食べ物が食道ではなく気管に入ってしまうこと)の原因にもなってしまいます。
また、食べ物の細かい粒が歯と歯の間に挟まったままになることもあります。食事をしていないタイミングでそれが気管に入り誤嚥につながる場合もあります。
では!「刻み食は避けたほうが良いの?」と思われる方もいるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。
飲み込みに問題がない場合は硬い又は大きいという理由で嚙み切れなかった食材を無理なく食べられるので、食事の楽しみにつながります。
飲み込みに問題がある場合はただ食べ物を刻むだけでは危険を伴うことがありますので、飲み込みやすくする工夫を合わせて行いましょう。具体的には、「とろみ」をつけて、食べ物の粒をまとまりやすくすることが必要です。
すると、飲み込むが弱くても食べ物をまとめて飲み込むこともスムーズに行うことができます。
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刻み食のメリットとデメリット
刻み食にはメリットもデメリットもあります。これらのメリット・デメリットを知ったうえで刻み食にするかを決めましょう。
【メリット】
- 噛む力が弱くても食べやすい
- 口が大きく開かなくても食べられる
【デメリット】
- 食べ物が口の中でまとまりにくくバラバラになってしまう。
- 細かくなった食べ物の粒をうまく飲み込めずに誤嚥につながる可能性がある。
- 食べ物の粒が歯の間や口の中に残りやすい。(入念な口腔ケアが必要となります。)
自宅で刻み食を作るときに気を付けること
★まな板や包丁などの調理器具をきれいに保つ
刻み食は、一般的には食材をまな板で細かく刻んで作ります。常食よりも表面積が多くなるため、細菌がつく可能性は高くなります。
さらに、食事をするのは、免疫力が低下しがちな高齢者です。そのため、調理時にはより衛生面には注意を払う必要があります。
刻み食を作るときに使うまな板や包丁は、頻繁に殺菌・滅菌を行うようにしましょう。
★ とろみをつけるなど、まとまりやすくなるように調理方法を工夫する
刻み食での注意点は、食べ物が口の中にばらばらになって飲み込みづらくなってしまうことを避けることです。単に刻めばOK!というわけではありません。
水分が含むような料理にしたり、片栗粉やトロミ剤を使って「とろみ」をつけるようにするなど、調理工程でひと工夫をほどこすようにしましょう。
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まとめ
刻み食には良い面もあれば、危険な面もあることをお話ししました。
危険な面を知らないままに、「噛む力が弱いから、とりあえず小さく刻んで食べやすくしよう」と 食べてほしいという愛情から刻み食をはじめると、誤嚥など思わぬ事故を引き起こすこともあります。
《刻み食》をする場合にはその方に合ったサイズや、飲み込みやすさにも注意する必要があることをしっかり理解し、適切な状態で食事がとれるようにしましょう。
次回は、嚥下障害(えんげしょうがい・飲み込む力)がある方に適切なとろみのつけ方についてお話ししたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。(_ _)。