今回は片麻痺がある方で、少しお手伝いすれば立ち上がることが出きる方のケース。
立った姿勢(立位)が保持できる方を、自宅でトイレの便座に座らせるまでの介助について、日頃の実践に基づき分かりやすい言葉でお話ししたいと思います。
毎日の生活で必ず訪れる排泄の時間!排泄は生きていく上で欠かすことができない生理現象です。
同時に羞恥心を伴うとても繊細なものでもあります。そのため、突然身体の自由が奪われてしまった方や、ご高齢者の中にはこれまで自分できちんとできていたことが人の手を借りないとできなくなってしまうことで、自信を失ったり落ち込んだりしてしまう方もいます。
そうした思いをきちんと理解し、介護を受ける方の心に寄り添いながら排泄介助を行うことが大切です。
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健康な方を便座に近い位置に
- 車椅子の方も介助で歩行可能な方も、健側側(麻痺のないほう)を便器に近い位置につけます。介助者は麻痺側につきます。
- 車椅子のブレーキがしっかりかかっていることを確認します。フッとレスを開いて足を床に置きます。
- お辞儀をするようにして頭を少し前に傾けて、お尻を車椅子の前方に動かします。(前方にお尻の位置をずらすことで立ち上がりやすくなります。)
- 麻痺側の足を少し前に出しておきます。
- 手摺りを握ってもらい、お辞儀をするように立ち上がりの声掛けをして立っていただきます。その際には麻痺側の腕(脇の下)とお尻を支えます。
- やむを得ずズボンの後ろを掴んであげる方もいますが、股に食い込んでしまい痛みを伴い不快感が残るので注意しましょう。可能な限り控えましょう。
立ち上がりから立位を安定させる
- 立ち上がりができたら、しっかり立っていることを確認します。麻痺側を支えながら健側側を軸にしてゆっくりと便座方向に身体を回転させます。この時点では麻痺側と健側側が不ぞろいです。
- 立位を安定させるために介助者は要介護者の麻痺側の斜め後ろ方向に体をつけ、麻痺側を健側側に揃えます。バランスを崩して倒れないように立位保持を強化します。
- 自分でズボンを下すことができる場合は残存機能保持のためにご自分でしてもらいましょう。手摺を離すことになりますのでその際には麻痺側の腕を支えます。決して急がせず優しく待ちましょう。
- ご自分でのズボンの下ろしが困難な場合は手摺をしっかりと握ってもらい、介助者が優しく素早く下ろします。
☘ワンポイントアドバイス 便座から少し離れた位置でズボンを下す。(便器に引っかかって下まで下りない為)
排泄は羞恥心を伴うことから一連の流れをスムーズに行えるようにシミュレーションしておくと良いでしょう。
座位が保てるように座ってもらう
- ゆっくりとした動作で健側側を軸に回転してもらいます。身体が便座と垂直の位置まで回転出来たら、ゆっくり座ってもらいます。座位が保てるように両方の足の位置をそろえましょう。
- 座位の安定を確認したら排尿排便が終わった時は教えてください。と声をかけてその場を離れます。転倒リスクがある場合は見えない工夫をして傍で待ちます。
☘ワンポイントアドバイス 排泄の際、力みによって血圧が上昇することがあります。日頃から高血圧症の方は注意して見守りをしましょう。
又、多量の排便により血圧が急降下する事があります。それにより、意識低下が起こり一時的に気を失う状態になる事があります。そのような時は軽く体をタッピングしながら声掛けして覚醒を促しましょう。
- 排泄が終わりトイレットペーパーを自分で切れる又、自分でふける場合はご自身でしてもらいます。自分で困難な場合は介護者がしますが、その際には尿路感染防止のために前から後ろに拭きましょう。
- トイレから車いすに移動するときは逆の手順で介助します。
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さいごに
排泄後にめまいなどがないかを確認し、しばらく体調に異常がないかの様子観察することも大切です。排泄に失敗しても決して責めたりせず、排泄が上手にできた時には、そのことを一緒に喜ぶことも大切です。排泄物の状態を確認し、体調に問題がないことを伝えるなど、要介護者が自信を持ったり安心したりできる声かけを行いましょう。
排泄に限らず介護は双方ともに体力的にも精神的にも負担を要することです。一人で抱え込まないであまり無理をしないで、気分転換する事がたいせつです。